院長
山下徳次郎

日常的に起こる痛みは、打撲、捻挫、骨折などの外傷による急性炎症の痛みを除くと、その多くは筋膜性疼痛症候群という疾患で観られる筋膜性疼痛です。

すなわち、筋膜の重積・癒着に伴う持続的筋収縮による虚血が原因となって発生する関連痛という痛みであり、エコーガイド下Fasciaハイドロリリースという治療によって筋膜の癒着を剥離し、虚血を改善することによって改善させることが出来ます。
しかし、筋膜性疼痛症候群はまだ医師に十分認知されていないため、この疾患による痛みの多くは他の疾患のせいにされています。現代医学では、客観性が重要視されるあまり画像検査が偏重され、レントゲン写真やMRI検査などに異常所見があると、それが痛みの原因と考えられてしまい、触診や超音波検査でしか確認できない筋膜の虚血性病変が原因で発生する痛みが見逃されているのです。一方、画像検査で異常がない場合は診断ができないため、原因不明であるとか、心の病気であると考えられてしまいます。
以下のような症状に対して次のような病気の診断を受けている方で、治療がうまくいかない場合は、筋膜性疼痛症候群が強く疑われます。

■ 頭痛
筋緊張性頭痛、偏頭痛、後頭神経痛

■顔面、顎関節(あご)、歯の痛み
三叉神経痛、非定型顔面痛、顎関節症

■首・肩・腕の痛み
頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、頚椎症性神経根症、頸椎捻挫/むち打ち症/ 外傷性頚部症候群、テニス肘、野球肘、五十肩/肩関節周囲炎、腱鞘炎、関節炎、手根管症候群

■腰・臀部(お尻)・脚の痛み
腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、 変形性腰椎症、椎間板症/椎間板変性、腰椎分離症、坐骨神経痛/神経根症、非特異的腰痛、ぎっくり腰/急性腰痛症、慢性腰痛症、 シンスプリント、肉離れ

■股関節・膝関節の痛み
変形性股関節症、変形性膝関節症、膝関節半月板障害

■胸部の痛み
狭心症、肋間神経痛
また上記の症状があるにもかかわらず診断がつかない場合も「筋筋膜性疼痛症候群」が強く疑われます。

「筋筋膜性疼痛症候群」であれば、他の治療、たとえば鎮痛剤内服、理学療法(リハビリ)、硬膜外ブロック、関節腔内注射などの効果がない場合でも、トリガーポイント治療を行うことによって十分改善が期待できます。

「筋筋膜性疼痛症候群」の中にはトリガーポイント治療を行っても治りにくいものがありますが、その場合でも治りにくい理由があります。その理由を明らかにしてその問題に対処していけば治る可能性は十分あります。

「筋筋膜性疼痛症候群」以外の慢性の痛みについて
慢性の痛みの中には、鎮痛が難しいいわゆる「神経痛」(神経が障害されて起こる痛み)がありますが、その多くは神経が障害されるような外傷、炎症の既往がある場合に起こり、頻度は決して多くはありません。※痛み以外の症状の場合は、次の不定愁訴の項目をみてください。

筋膜性疼痛

トリガーポイント鍼療法(鍼によるFasciaリリース)